お菓子としても好まれるじゃがいも。
わが家の子供たちも、ポテトフライにしてあげるとパクパクと食べてくれます。
種類もとにかく豊富で、料理によって使い分けるのも楽しみの一つですね。
今回はそんなじゃがいもの栄養・カロリー・旬・産地・歴史・由来・種類・保存方法と選び方をご紹介します。
由来と歴史
英名:Potato
仏名:pomme de terre
学名:Solanum tuberosum
ナス科ナス属
原産地:南米アンデス
オランダ人が東洋貿易の根拠地としていたジャガタラ(インドネシアの首都ジャカルタの旧名)からもたらされたことで、ジャガタラ芋→じゃが芋と呼ばれるようになりました。
別名である馬鈴薯は、植物分類学者の牧野富太郎という人によると全く別の植物で、洋芋、または陽芋をあてるのが正しいということです。
原産地である南米のアンデス山地は標高3000〜4000mの地域で、紀元500年ごろに栽培されていたと考えられています。
16世紀になってからヨーロッパへ伝えられ、その後北方へと広まっていきました。
ドイツで広まった際には国力が増したことから、フランスのルイ16世の王妃は帽子にじゃがいもの花を飾ったとか。
食用の作物として本格的に栽培が始まったのは17世紀のアイルランドで、アメリカへは1621年にヨーロッパから導入されました。
日本では17世紀の初め頃、オランダ人によって伝えられましたが、本格的な栽培が始まったのは18世紀に入ってからでした。
飢饉のたびに食糧としての重要性が知られるようになり、19世紀後半の江戸末期では全国的に広まったということです。
栄養とカロリー
<可食部100gあたり>
・エネルギー 76kcal
・水分 79.8g
・たんぱく質 1.6g
・炭水化物 17.6g
・無機質
ナトリウム 1mg
カリウム 410mg
カルシウム 3mg
マグネシウム 20mg
リン 40mg
鉄 0.4mg
亜鉛 0.2mg
マンガン 0.11mg
・ビタミンB1 0.09mg
・ビタミンB2 0.03mg
・ナイアシン 1.3mg
・ビタミンB6 0.18mg
・葉酸 21μg
・パントテン酸 0.47mg
・ビタミンC 35mg
・食物繊維総量 1.3g
じゃがいもは水分(約80%)を除くと、ほとんどが炭水化物です。
その炭水化物の90%はでんぷんであり、上質なエネルギーであることから主食にしている国もあります。
ビタミンCやB1、B6が豊富で、フランスでは「大地のりんご」とも呼ばれています。
ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせない成分で、骨や皮膚を丈夫に美しくする効果があり、免疫力の強化や、ストレスに強い体作り、抗酸化作用も発揮してくれます。
またカリウムも豊富で、体内のナトリウムを排泄して血圧を下げる効果も期待できます。
水溶性のため、カリウムの働きを活用したい場合は煮物は避けて蒸したり焼いたりすると良いでしょう。
じゃがいものビタミンCはでんぷんにガードされているので、加熱しても失われにくいという性質を持っています。
また長期の保存でもほとんど損失がないので、安心してビタミンCの効果が期待できますね。
旬と産地
じゃがいものおいしい時期
5月、6月、7月(新じゃが)
8月、9月、10月
産地別
北海道 9月〜11月
長崎 5〜6月、9〜11月
その他、鹿児島や千葉などでも栽培されています。
暖地では年2回、北海道では年1回生産され、貯蔵性が高いため一年中安定して出荷されています。
春から初夏にかけて出荷される小型の新じゃがは、皮まで柔らかくみずみずしいのが特徴です。
冷凍フレンチフライやマッシュポテト、フレーク状に加工したものは大量に輸入されており、輸入先はアメリカ、カナダ、中国、オランダ、ベルギーなどがあります。
特徴
あまり知られていませんが、実はじゃがいもは地下茎(ちかけい)という、土の中の茎にでんぷんが溜まって肥大化したもの。
日中、葉で合成された養分が夜になって地下茎に移行して蓄えられてできた貯蔵庫になるんですね。
昼夜の温度差が大きいほど、養分の移行はスムーズになってでんぷん量が多くなります。
根っこを食べる野菜であるさつまいもとは、同じ芋でも異なるんですね。
またじゃがいもは現在日本で一番栽培されている野菜です。
中でも北海道はその76.5%を占めていて(2002年統計)、品種の作付面積は男爵、コナフブキ、トヨシロ、メークイン、紅丸がベスト5となります。
種類
男爵・・・明治41年頃に函館市郊外の農場主、川田男爵という人が輸入したことが名前の由来になっています。花は淡い赤紫色で、芋は扁球形、皮は淡い黄色で肉質は白いのが特徴。でんぷんの含有量は15%と粉質なので、粉吹き芋やコロッケに向いています。主産地は北海道や静岡など。
メークイン・・・英国生まれの品種で「MayQueen」で、関西方面で人気がある品種です。花色は白斑入りの紫色。形は長卵形で淡い黄色の果肉はきめが細かい。でんぷんの含有量は14.6%で粘質、煮崩れしにくいので煮物に向いています。主産地は北海道や長崎。
キタアカリ・・・花色は赤紫で、芋は扁球形、皮は白黄色で肉質は明るい黄色。でんぷん含有量は17%でやや粉質。最近生産量が増えている人気の品種です。煮崩れしにくくホクホクとしているので、ポテトサラダやコロッケに向いています。「栗じゃが」「黄金男爵」と呼ばれることも。主産地は北海道。
インカのめざめ・・・日本で育成された品種で芽が出やすいのが特徴。花色は淡い紫で、芋は小卵形、皮は黄褐色で肉質は濃い黄色。でんぷん含有量は18%。粉質と粘質の中間で舌触りはなめらか。用途は広く、お菓子作りにも使われます。主産地は北海道。
インカのひとみ・・・「インカのめざめ」の後代品種。なめらかな黄色い肉質で、栗やナッツに似た風味を持つ。「インカのめざめ」よりも一回り大きい。
紅丸・・・冬を越すと甘くなるのが特徴。収量が良く、でんぷん含有量は14.8%と多く、主にでんぷん原料用に栽培されています。花色は白で芋は卵形、皮は薄っすら紅色がかっていて、肉質は白いが淡赤色の班入りもある。主産地は北海道。
北海こがね・・・花色は淡赤紫、芋は長楕円形で皮は淡褐色、肉質はやや黄色。でんぷん含有量は16%でやや粘質。ねっとりしているので、煮崩れせず、油加工で変色しにくいことからポテトフライの主力品種。主産地は北海道、鹿児島。
十勝こがね・・・肉質は淡い黄色。ホクホクとねっとりのバランスがよく、特にフライドポテトに適している。長期保存が可能。
農林1号・・・馬鈴薯として登録された第一号であることが名前の由来。花色は白、芋は扁楕円形で皮は黄白色で肉質は白い。でんぷん含有量は16.6%でやや粉質。粉吹き芋などに向いている。主産地は北海道や鹿児島など。
コナフブキ・・・高でんぷん含有のでんぷん用品種として育成された品種。花色は極淡い赤紫、芋は扁球形、皮は淡い黄褐色で肉質は白い。でんぷん含有量は22.7%と多く、粉質。食品加工用や焼酎の原料としても使われる。主な産地は北海道。
トヨシロ・・・収量が豊富で肉質が白いことが名前の由来といわれています。花色は白、芋は扁円形、皮は淡黄白色。でんぷん含有量は16.3%でやや粉質。油で加工しても変色しにくいことからポテトチップスの主力品種となっています。主産地は北海道や関東など。
とうや・・・線虫に抵抗性があり、大粒で早出しを目標に育成された品種。花色は白で芋は球形で皮・肉質ともに黄色。芽が浅いので皮が剥きやすくでんぷん含有量は15.6%とやや粘質。煮物に適していて、揚げ物には向きません。主産地は北海道。
ジャガキッズレッド・・・球形の芋で皮は赤みがかっている。肉質は黄色。ホクホクとした食感だが、舌触りはなめらか。ポテトサラダに向いている。
マチルダ・・・卵形でやや小粒。肉質は淡い黄色で滑らか。甘みがあるのが特徴。凹凸が少ないので皮が剥きやすい。
スタールビー・・・比較的新しい品種。皮は赤みがかっていて、肉質はやや黄色。ふかすとホクホク、煮るとねっとりとした食感で楽しめる。中間の性質を持つことから様々な料理に活用可能。
シンシア・・・フランスから導入された品種。卵形で肉質が淡い黄色。やや粘質できめが細かく、煮崩れがしにくい。
レッドムーン・・・赤い皮に黄色の肉質が鮮やかなのが特徴。粘質なので煮物に向いており、形が似ていることからレッドメークインとも呼ばれる。
キタムラサキ・・・皮も果肉も紫色をした珍しい品種。アントシアニンを含んでいる。やや粘質で煮崩れは少ないもの、茹でると色が出てしまうので、フライに向いている。
保存方法
じゃがいもは冷蔵保存が向いていないため、できれば通気性の良いところで常温保存するのがおすすめです。
日光に当てると皮が緑色に変化し、有毒物質のソラニンが発生することがあります。
心配な場合は根菜ようの保存袋や、新聞紙に包んで保存しておきましょう。
冷蔵庫に入れる場合は、新聞紙に包むなどして野菜室で保存しましょう。
温かいと芽が出やすいので注意しましょう。
詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
選び方・見分け方
芽が出ているものや、皮にシワがあるもの、緑がかったものは避けること。
凹凸が少なめで滑らかな形のものを選ぶと良い。
手にとってしっかりと固く、重さがあるのを確認する。
大ぶりの男爵芋は中に空洞があるかもしれないので注意が必要。
おいしいじゃがいもの選び方はこちらの記事で詳しく紹介しています。
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